AIとは人工知能のこと。
将棋や囲碁ではもはや人間はAIに勝てなくなっています。
そして、多くの仕事でAIが導入されることで失業してしまう人がたくさん出てくるとも言われています。
そんな中、介護の世界でもAIの導入が進められています。
AIの導入で介護の質の向上と効率化を
介護の世界は人手不足が深刻です。
その背景にあるのが介護が非効率であり、重労働だということ。
国は介護の質を向上させ、効率化をすすめることが可能なAIの導入を後押ししています。
国立病院機構東京医療センターではフランスで生まれた認知症ケア技法「ユマニチュード」をAIを利用して介護者に教えるシステムが開発中です。
開発者は、静岡大発のベンチャーが2017年に合併してできた「エクサウィザーズ」。
「ユマニチュード」は認知機能の低下によって生じる興奮や不安などを緩和するとして、世界的に注目されているケア技法のことです。
また、介護の利用計画「ケアプラン」の作成を支援するAIサービスもスタートしています。
こちらは、大手介護事業者や官民投資ファンドなどが共同出資する「シーディーアイ」が開発した「MAIA(マイア)」。
利用した介護サービスと心身の状態の変化に関する約50万件のデータをAIに学習させ、ケアマネが要介護者の状態を入力することで、AIが自立支援に効果的であると予測したプランを3種類提示します。
また、食事や排泄などの自立度の変化予測もチャートで表示できます。
これらはリハビリ意欲を引き出すのにも役立っているそうです。
ケアマネはAIの提案を参考にしつつ要介護者や家族の気持ちを考慮して最終的なプランを考えます。
利用したケアマネからは「AIの活用により提案の幅が広まった」という声が上がっているそうです。
介護へのAIの導入の課題とは?
介護にAIを導入していくための課題はあります。
それは、
・質の高いデータを集めること
です。
AIはコンピューターです。コンピューターを適切に利用するためにはまずデータが必用です。
データがないとうまく機能しません。
逆に言えば、良質なデータがたくさん集まれば集まるほどより的確なプランを提供することができるようになります。
AIを使ってよいケアをするために、認知症ケア研究会
静岡大の竹林教授は「みんなの認知症情報学会」を設立。
認知症になっても安心して暮らせる社会を目指している。
認知症は予防法や治療法は確立されていいないが、本人、家族、介護者らのケア次第で穏やかに暮らせている人も多くいます。
しかし、これらのケアは属人的で客観的な根拠が乏しく共有し発展性がないまま。
そこで、学会では本人や介護者の主観的な記録と共に、映像やセンサー、ウェアラブル端末などを活用しデータを収集し「どのようなケアを行ったら同状態が変化したか」を膨大にデータとして集めデータベースを構築し、より良いケアを目指している。
また、研究成果をフリーペーパーとして発信したり、認知症の人の事例分析を通し学び合う塾も開催している。
これらにより認知症に関する理解を深め、認知症の人とのコミュニケーションスキル向上を目指している。
まとめ
AIを利用して認知症に関連するいろいろな問題の解決への取り組みはまだまだ始まったばかりです。
なので、実際に現場で当たり前に運用されるまでには少し時間がかかるでしょう。
ただ、今までにはできなかったことができるようになる可能性があるため、今後さらならる進化を期待したいところです。
理想的には認知症にならないための予防法や認知症になっても治せる治療法の確立がAIの利用で可能になればと思います。
参考:読売新聞