身体を動かすことで、頭がスッキリしたりストレスが改善されたりする。
さらに自己肯定感が増したり、自信がついたり。
このようなことを経験したことがある人もいるかと思います。
最新の研究では運動により肉体だけでなく脳も活性化されることがわかってきています。
つまり、今問題になっている認知症の予防、さらに学習効果のアップにもつながると考えられます。
運動が脳に影響を与える?
一般的には脳が動けと命令を出すと、身体が動くとされていました。
つまり、一方通行。
しかし、1995年アメリカで運動をすることで神経細胞を成長させる物質が増えることが発表されました。
これは、BDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質です。
この発表以後、脳と運動に関する研究が世界的に加速しています。
そして今、脳が身体を動かすだけでなく、運動が脳をダイナミックに変えていくことがわかってきています。
以前、20代を過ぎると脳細胞は死滅する一方ということが言われていましたが、運動をすると脳細胞が増える可能性があるという研究結果が出てきています。
実験では、ラットに運動をさせることで海馬で新しい神経細胞が生まれてきています。
また、高齢者でも定期的に運動をすると海馬の面積が増えるという研究結果も出ています。
さらに前頭前野(記憶した情報をまとめ判断や意志決定をする)の部分も運動後に血流が増えて判断力が高まるそうです。
そして、気分や意欲に関わるセロトニン、ノルアドレナリンなどの物質も運動によってうまく調整されると考えられています。
このように運動が脳にいろいろな影響を与えているという証拠がいくつも見つかってきています。
運動すると細胞が連携する
ハーバード大学医学部のジョン・レイティー准教授は
「身体を動かし働きを求められれば血流が増し、細胞の連携が生まれ、筋肉と同じように脳は変化する。それは脳の萎縮を防ぎ自分自身であり続けるための鍵となる」
と語っています。
身体を動かすことが脳を活性化させて、脳を健康に保つことにつながる。
このように考えられます。
ストレスが脳の敵
脳によい運動とは、どんな運動でしょうか?
ラットにきつい運動と軽い運動の2つをやらせたところ、軽い運動の方が海馬に新しい細胞を多く作ったそうです。
つまり、脳によい運動は軽めの運動です。
これが何を意味しているかというと、脳はストレスに弱いためにきつい運動だとストレスになるため、軽い運動の方がよい結果になりました。
脳は強いストレスを受け続けると、神経の新生を妨げるホルモンが出るためのようです。
また、大学生に10分間、軽く自転車をこいでもらいその後、記憶テストを実施。テスト中の微細な神経細胞の活動をMRいで測定。
この結果、運動しない時に比べ記憶力が高まり、活動量が増えて周辺の脳との連携も活発になりました。
同じ10分間で前頭前野の活動をみる判断スピードのテストでもやはり結果は向上しました。
そして、向上の度合いは、運動で気分がよくなった人ほど高いということです。
これらの結果から言えることは、
「その人に快適な運動が脳の活性化につながる」
ということです。
ですので、きつい運動であってもそれがその人にとって心地よいものであれば、脳は活性化するということです。
まとめ
運動で脳機能が改善し海馬が増える。
これは朗報ですね。
運動が認知症の予防に効果的ということは、以前から言われてきました。
でも、どうしてそうなるのか、わかっていませんでした。
しかし、研究が進むにつれてそのメカニズムが明らかになりつつあります。
私達が認知症の予防としてできることは、
・自分にとって快適と思える運動を続けること
です。
また、今、認知症になっている人でも運動により脳へよい影響を与える可能性あります。
ですので、周囲の人はで認知症の人にもでいるだけ運動をサポートしてあげるといいでしょう。
ただ、無理強いをするとかえって認知症によくないのであくまでも、楽しく快適に運動をするというのが大事になります。
楽しんで運動するなら、スポーツがいいかもしれませんね。
サッカーが好きならサッカー、野球が好きなら野球、テニスが好きならテニス。
なんでもいいですが、自分が心から満足できる方法で身体を動かすのが脳には一番の刺激です(*^o^*)。
参考:読売新聞