軽度認知障害

「今、何してたんだっけ?」

「う~ん、最近よく道に迷うな~」

このように物覚えが悪くなってしまったと思うような経験をしたことはないでしょうか?

「もしかしたら、認知症かもしれない」と心配になる人もいると思いますが、単に記憶力が悪くなったのなら、認知症ではなくその一歩前かもしれません。

軽度認知障害とは?

軽度認知障害という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

軽度認知障害とは、正常と認知症の間の状態、すなわちグレーゾーンの状態のことを言います。MCI(Mild Cognitive Impairment)と呼ばれることもあります。

この状態は、記憶力、判断力、言語能力など認知機能の衰えがありますが、通常の生活はちゃんとできます。

日本で、軽度認知障害の人は、65歳以上の13%、400万人ぐらいがいると推測されています。

認知症の人は、65歳以上の15%、462万人ほどなので、この軽度認知障害の人達が将来認知症になるとしたら65歳以上の28%が認知症になってしまうのですから、大変なことです(日本人の人口の3割が65歳以上ですから、全人口の1割近く)。

アルツハイマー病と軽度認知障害

アルツハイマー病は、認知症患者がもっとも多い病気です。

アルツハイマー病になると、海馬(記憶の中枢)の萎縮が起こり記憶の低下などによる物忘れが生じ、さらにその萎縮が脳全体に起こるようになります。進行すると単に物忘れだけでなく、認知機能が低下し、着替えや食事などができなくなり、さらに重くなると立ったり歩いたりする運動機能にも障害が出ます。

軽度認知障害や認知症の人の60~70%の人は、アルツハイマー病と言われています。

ですので、アルツハイマー病を減らすには、軽度認知障害となっている時点で対応することがとても大事になります。

なぜなら、軽度認知障害の段階で原因となっている病気の種類を突き止めることで、早期に対応すると、アルツハイマー病などの認知症になることを遅らせることができるからです。

そうすれば、生存寿命と健康寿命の差を小さくすることができるので介護期間は少なくて済みます。

また、適切な対応をすれば軽度認知障害が治ることもあります。

ただし、アルツハイマー病の場合は現時点では進行を遅らせることはできますが治せません(アルツハイマー病による軽度認知障害の時は、1年で10%、5年で50%以上がアルツハイマー病となる)。

非アルツハイマー型高齢者タウオパチー

認知症で最も多い病気は、アルツハイマー病です。その他に、非アルツハイマー型高齢者タウオパチーという病気があります。

この病気はアルツハイマー病に似てますが、アルツハイマー病よりも進行がゆっくり進みます。

この病気は、高齢者の認知症、軽度認知障害の人の15%ほどです。多くの場合、アルツハイマー病として診断されることが多いので、適切に診断するためには、脳内のアミロイドβの量を調べることが必要になります(非アルツハイマー型高齢者タウオパチーの場合、タウタンパクが増える)。

もし、非アルツハイマー型高齢者タウオパチータイプの軽度認知障害であれば、進行がゆっくりなので、適切に対応すれば死ぬまで認知症にならずにすむ可能性が高くなります。

軽度認知障害のチェック方法

軽度認知障害のチェックするには、以下のような項目に心当たりがないかを調べます。

・物忘れが目立つ
・仕事や家事の効率が悪い
・元気や意欲がない
・普段と異なる出来事が嫌になる
・趣味に興味がなくなる
・付き合いが狭くなる

このようなちょっとした変化が軽度認知障害により生じることがあります。心当たりがある時は、医師の診察を受けるといいでしょう。

本当に軽度認知障害なのかを確かめるには?

正確な診断をするためには、物忘れ外来、神経科、精神科などで診てもらう必要があります。

そして、もし軽度認知障害であれば、どのような病気で軽度認知障害になっているのかをはっきりさせることが大事です。

なぜなら、病気によって対応方法が違うためです。なので、「ちょっとおかしいかもしれない」と思ったら放置をせずに早めに受診をすることがおすすめです。

もし、認知機能が落ちている本人が受診したくないと言ったとしても、周りの人が受診を促すようにするほうがいいです。

なぜなら、診断と対応が遅くなればなるほど対応が遅れてしまうために、認知機能が低下してしまうので、元に戻したり、進行を食い止めることが難しくなりますから。

軽度認知障害の治療

軽度認知障害の治療は、認知症の予防+薬が基本です。

1、食事、運動など生活習慣の改善
2、趣味を続けてるなど好奇心を持つ
3、人とつながりを持つ(ボランティア、仕事他)
4、薬(アルツハイマー病などの場合)

まとめ

軽度認知障害の場合、何と言っても早期発見、早期治療が大事です。

特にアルツハイマー病タイプの軽度認知障害は、進行速度が早いので発見と対応が遅れると認知症になるのを遅らせることが難しくなります。

最も重要なことは、認知機能の衰えを感じたら、すぐに診察を受けて自分の状態を客観的に理解をして、適切に対処することです。

軽度認知障害だからといって、悩んだり怖がったりしないで、正しい対応をすることができれば、生活の質を高い状態のまま生きていくことが可能となります。

参考:NHK今日の健康 http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archives/2016/12/1205.html