認知症の患者を介護している時に困った行動をする人がいます。

代表的なものは、妄想、興奮、徘徊、暴言、暴力など。

こういう症状を和らげ改善するための取り組みとして、認知症患者の心と行動を見える化するという試みがあります。

認知症患者の行動に対する心理状態を把握

妄想、徘徊のような認知症による行動心理症状(BPSD)に焦点を当てた在宅ケアプログラム(BPSDプログラム)を東京都医学総合研究所が開発しました。

*BPSDとは?

BPSDは、脳の神経細胞が壊れることで、直接的に起こる記憶障害などに加えその人の性格や周囲の環境、人間関係などの要素が絡み合って起きる症状。不安、徘徊、うつ、興奮、暴言、暴力など表れ方は人それぞれで家族や介護者の深刻な悩みなることが多い。認知症患者が在宅生活をできなくなる最大要因

この「BPSDプログラム」はスエーデンの取り組みを参考に開発されたものです。

具体的には、認知症の人の症状に関して、90ほどの質問をタブレットで答えて入力。

「不安」、「妄想」、「興奮など」12項目について重症度が点数化されます。

点数が高い項目からその人の行動の背景や求めている支援を話し合い、実践します。

これにより、ケアの優先度が誰にでも見えるようになり、具体的なケアの計画を立てて介護する人全員で共有することができます。

このプログラムを実践することで、興奮やイライラが強い認知症患者に対して、適切な対応が取れるようにケアをしたところ、興奮やイライラの症状が改善します。

このやり方がいいのは、対応に困った認知症患者に対して、今までは手探り状態で対症療法しかなかったのが、現状把握により適切な対応法が明らかになり、しかも誰もが実践し易いために、介護する職員のやる気も引き出せることです。

BPSDは、心の不安、恐れなどが表面化したもの

BPSDは、問題行動と言われます。

しかし、その背景にはるのは、認知症患者の心の不安、恐れ、寂しさなどです。

ですので、その心の状態を理解してそれを和らげるような周りのケアが、BPSDの改善につながります。

認知症ではない人の場合なら、自分の心の状態を言葉で伝えることができます。

ですので周りの人も相手の心の状態を理解することができます。

BPSDの人は、普通の人にように自分の心の状態を言葉でうまく伝えられません。

だからこそ、それが興奮、イライラ、暴力、暴言などでしか表せないのです。

職人技に頼らない在宅ケアの実現

高齢化が進み認知症患者は増えています。

こんな中、認知症患者のなkでもBPSDの人に対する対処は、介護のベテランつまりスペシャリストでないと、なかなか対処できないものでした。

しかし、認知症患者が増えるとベテランばかりに頼ることは不可能です。

そんな中、新しく開発されたBPSDケアプログラムは、ベテラン介護士でなくてもBPSDの人に適切な介護をするための取り組みとして期待ができます。

大事なことは、このようなプログラムを誰にでも利用できるように落とし込み、その情報をオープンにしたり、使い方を知ってもらうためにセミナーを開くなどして周知してもらうことです。

今でも多くの家庭では、BPSDの人の世話に手を焼いている人達がたくさんいますから。

まとめ

認知症患者に起きるBPSDは、介護を困難にさせます。

もし、認知症であってもBPSDがなければ自宅で介護できる場合も多いのです。

このBPSDを改善できるプログラムが開発されて実践されつつあるのはとてもいいことです。

介護する人にとっては希望となりますし、家族が認知症の人と共に生活ができるし、家族の負担も減ります。

実際にこのプログラムの成果が高いことがはっきりしたために、一部の自治体では事業化を予定しています。

個人的には、BPSDプログラムのような効果的な手法は、どんどん推し進めて行って欲しいと思います。

今、日本では認知症の人への対応が待ったなしの状態です。早く対応しないと介護する人や家族がつぶれてしまいます。

また、今認知症でない人は、認知症にならないように予防することが大切です。

一人が認知症になると、その介護に一人以上が必用になってしまいますから。

参考:読売新聞