最近、ニュースでは認知症の人が交通事故を起こすケースが増えていると報道されてます。
親が歳をとってきて認知機能が衰えてきたら、「もしかして認知症かもしれない」と心配してしまう人もいると思いますが、万一交通事故でも起こしたらもっと大変なことになります。
なぜなら、被害者がいるからです。
たいていは、自賠責保険だけでなく任意保険も入っていると思いますが、果たして保険金はちゃんと支払われるのでしょうか?
自動車保険はちゃんと支払われるのか?
現在の自動車保険では、安全運転ができない場合に運転すると保険金が支払われない可能性があります。
ですので、認知症の人が車を運転して交通事故を起こした時、保険金を払ってもらえずに自己負担しないといけない可能性があります。
そして、もし認知症の人に支払い能力がなければ家族がその責任をとって被害者に補償をしないとならなくなるかもしれません。
高齢者ドライバーはどれぐらいいるのか?
日本では車がなくて用事を済ませることができる地域は限られています。
特に地方などでは、車がないと生活ができません。
このような事情から高齢者になっても運転をする人は増えています。
引用元: 運転免許統計 平成26年版
こちらの統計を見るとわかるように、全年齢に対する高齢者ドライバー(65歳以上)の割合は、平成26年において
男性:23.4%
女性:15.8%
男女:20%
となっています。
つまり、日本では車を運転している人の5人に1人が高齢者ということです。
高齢者ドライバーが必ず認知症だというわけではありませんが、少なくとも年齢が若いドライバーよりも認知機能が衰えているため、車の運転技能も落ちている可能性は高いと考えられます。
認知症の人の車の運転について
高齢者ドライバーの増加、それに伴い高齢者ドライバーの交通事故が増えている昨今。
これからは、認知症でなくても認知機能が衰えて運転技能が落ちてしまった高齢者ドライバーや認知症になってしまったドライバーは運転をしないようにすべきだと考えられます。
ですが、認知機能の検査を行ったり、運転技能の衰えた高齢の運転者から免許を取り上げてしまうと、この人達の生活は成り立たなくなってしまうという現実があります。
そのため、むやみに認知機能が落ちた高齢者ドライバーの免許を停止にすることは現時点では難しいと思います。
ですから、まず交通機関を整備して車がなくても便利で安心して暮らしていけるようにする必要があります。
その方法としては、乗り合いタクシーやバスを増やす、コストが安い公共機関を作る、宅配サービスの利用を拡大する、AIによる自動運転車を実用化するなどが考えられます。
認知機能がおとろえたら免許を返納する
基本的には、自分の運転技能が衰えてしまったと認識したら車の運転免許は返納すべきでしょう。
しかし、認知機能がおとろえた本人が車の運転が好きだったり、生活に欠かせないと手放すことは難しくなります。
ですので、その場合は家族がなんとか説得するのが一番ですが、難しい場合には、他人の力を借りることも必要です。
例えば、医者から話してもらう、警察に相談に行く、本人の友人に説得してもらうなど。
ただし、本人の尊厳を傷つけないように納得して返納してもらうように注意することが必要です。
まとめ
長年運転してきた人にとって、車を運転しないという決断はすぐに受け入れられないこともあります。
しかし、自分や家族や世の中のことを考えれば、安全に運転する能力がなくなったら、運転はすぐにやめたほうがいいいでしょう。
これは、今高齢者になったドライバーだけでなく、いずれ高齢ドライバーになるであろう人であっても同じです。
日本は高齢化が進んでいるのでだんだんと自分の力ではできないことが増えてきます。ですので、そのような場合にどうするかを個人レベルだけではなく社会全体として考えていく必要があります。