調査によると日本での補聴器の利用率は欧米諸国に比べて低くなっています。
これだけ高齢化が進んでいる日本なので耳がとおくなり補聴器が必用な人も多いはずなのに。
実はこれには理由があります。
補聴器の国内出荷台数は約56万(2017年)
2017年における国内の補聴器の出荷台数は約56万台でこれは5年前に比べて1割増えています。
でも、日本補聴器工業界の調査によると難聴者の割合は11%でうち補聴器を使っていたのは14%に過ぎません。
欧米での使用率は英国42%、ドイツ35%、米国30%となっていて日本での補聴器の使用率の低さが目立ちます。
この理由について日本補聴器工業界の普及委員長は、
「補聴器を販売する人に公的な資格がないことが広まらない理由の1つ」
と語っています。
補聴器は医薬品医療機器法に定められた医療機器ですが、医師の診断がなくても購入することができます。
補聴器の調整は民間資格「認定補聴器技能者」ができるが販売店はこの資格者を配置する義務はありません。
一方、欧米では公的な資格制度があり「オーディオロジスト」と呼ばれていて、聴力検査や補聴器の調整を行っています。
このような状況のため、日本においては補聴器を買う時にきちんと説明や調整がされないことがあります。
すると、補聴器を使っても「聞こえない」「不快」などということで使用をやめてしまったり、「使いにくい」という印象が広まり利用者が伸びないということです。
補聴器の満足度はわずか39%
日本補聴器工業界の調査では、日本における補聴器の満足度は39%です。
一方、欧米諸国の補聴器利用者の調査では、満足度は70~84%となっています。
また、日本での補聴器の購入は9割が自費で購入しています。
補聴器の価格は1個当たり15~20万円、2個(両耳)をそろえると50万円を超えることもあります。
さらに、1度買えばずっと使えるわけではなく、だいたい5年ぐらいで買い換えが必用にあります。
このように補聴器にはかなりお金がかかるため、買える人は少なくなり補聴器の利用者が広まらない原因の1つになっています。
補聴器は高度の難聴なら1割負担で購入できる
補聴器は保険適用ではありません。
しかし、障害者総合支援法に基づき高度の難聴(大声でないと聞こえない)であ、れば原則1割負担で購入できます。
手続きですが、まず障害者手帳を手に入れる必用があります。
1、各市区町村障害福祉窓口で申し込み
窓口で申し込むと障害者判定医を紹介してもらえます
2、障害者判定医による判定
判定医に身体障害者診断書、意見書を書いてもらいます
3、障害者福祉窓口で手続き
必要書類を提出し身体障害者手帳を交付してもらう手続きをします(交付まで1~3ヶ月かかります)。
4、障害者福祉窓口で交付
身体障害者手帳を受け取ります
さらに補聴器を交付してもらう手続きが必用となります。
なので、補聴器を1割負担で買うのはかなり煩雑な手続きが必用になります。
また、難聴の程度が中程度以下であっても、医療費控除を受けられます。また18歳未満であれば、自治体により補助を受けられることもあります。
わからないければまず、市区町村の障害者福祉窓口に聞いてみるといいでしょう。
まとめ
日本で補聴器の利用が進んでいないのは、
・補聴器の資格制度がなく十分な説明を難聴者に説明できていない
・補聴器の価格が高い
・補聴器の保険制度や控除についての知識を知らない。
・補聴器の保険制度や控除手続きが煩雑
これらの理由があると思います。
逆に言えば、これらを解決すれば補聴器の利用者は増えて、生活の質が改善されるはずです。
私事ですが、うちの母親も耳がかなり遠いです。安い集音器を利用していますが、付け心地などはいまいちのようです。
高価な補聴器もありますが価格の高さが購入へのネックとなっています。
また、万一なくしてしまうことを考えるとすぐに買うのもどうかと考えてしまいます。
ただ、補聴器を利用することで生活の質が改善されれば、難聴者の生活が改善されて結局将来の認知症や寝たきりになるリスクは減らせるはずです。
メーカーにはより安い補聴器の開発をそして国や地方自治体には簡単な手続きで補聴器の購入補助を受けられる仕組みを作って欲しいとお願いしたいと思います(*^o^*)。
参考:読売新聞