毎日、しっかり眠れていますか?
睡眠が人間の健康にとって大事なことは、周知の事実です。
でも、中には、
・なかなか寝付けない
・寝てもすぐに目が覚めてしまう
・目覚めが早く眠った気がしない
など睡眠不足に陥っている人も多いようです。
睡眠不足が続くと慢性化して不眠症という病気になります。
すると、日中はいつも眠かったり、心身の調子が悪くなったり、普段の生活にも悪影響が出てきます。
不健康が長く続けば当然、病気になりやすくなるし寝たきりのリスクが増え認知症になってしまう危険性が高まります。
ですので、睡眠不足にならないようにすることが結局、認知症予防にもつながります。
日本人の睡眠時間は減っている
1970年代、日本人の睡眠時間は、8時間ほどありました。しかし、2010年代に入ると、7時間10分ほどに減っています。
ところが、日曜や土曜などの休日の睡眠時間は逆に長くなっています。これは、どういうことかというと、平日の睡眠不足を休日で補っているということです。
つまり、普段からずっと日本人は睡眠不足なのです。
引用元: 2015年国民生活時間調査報告書
この原因ですが、それは仕事と考えられます。
その証拠に40代と50代の働き盛りの年代が一番睡眠時間が短くなっています。逆に仕事からリタイヤする60代以降になると、睡眠時間は増えていきます。
これだけ睡眠時間が減ると、当然自覚症状が出てきます。調査によれば、10人に1人は普段、眠気を感じています。
人にとって必要な睡眠時間はどれぐらいか?
「1日8時間眠るのが一番よい」
このように言われることがありますが、これは嘘です。
なぜなら、必要な睡眠時間は一人一人違うからです。
ですから、もし自分にとって理想的な睡眠時間を知ろうとしたら検査をしないとわかりません。
ただ、日中にだるさや眠気が出ないのであれば、睡眠時間は適切と考えてよいので理想の睡眠時間に近いはずです。
睡眠不足になりやすい人はどんな人?
睡眠不足に陥りやすい人のタイプは2つあります。
1つ目のタイプは、体質的に必要な睡眠時間が長い人です。元々睡眠時間がたっぷり必要なので、ちょっと予定が狂って寝る時間が遅れたりするとすぐに睡眠不足になってしまいます。
2つ目のタイプは、夜型生活の人です。たとえば、夜中までゲームをして朝はいつも通りの時間に起きて会社や学校に行くとなると、当然睡眠時間は減ってしまいます。
夜型タイプの人は、夜遅くなればなるほど、頭がさえてきます。ですから眠る時間がどうしても遅くなってしまい寝不足になりがちです。
現代は勤務時間が夜だったり、夜に遊べる場所がたくさんあったり、インターネットやゲームなどの娯楽もあるので、どうしても夜型生活になってしまう人が増える傾向があります。
体内時計の差が朝型か夜型かを決める
人の脳内には視交叉上核というものがあります。これは、脳の視床下部にあり体内時計の役割を担っています。
視交叉上核は、寝起き、ホルモン、自律神経などをすべて制御しています。
この体内時計は、個人差があります。1日24時間の人もいるしこれよりも長い人、短い人もいます。
この差によって朝型か夜型かが決まってきます。体内時計の平気時間は、24時間10分です。
今、体内時計が24時間10分の人がいるとします。実際の時計の1日は24時間ですから、この10分の差が積もり積もるとどんどん眠くなる時間が遅くなるので、目覚める時間が遅くなります。
ですから、眠くなる時間をいつも同じにするには、体内時計の時間と実際の時計の時間を調節する必要があります。
体内時計と実際の時計の調整方法
体内時計の時間と実際の時計の時間を調整する方法はこちら。
1、朝の日光をたっぷり浴びる
2、早起きをする
まず1ですが、日光を浴びることで体内時計を調整することができます。つまり、体内時計が実際の時計に近づくように調整されます。
日光を浴びる時の注意点ですが、午前中に浴びることです。なぜなら、その方が調整効果が高まるからです。逆に午後に日光を浴びてしまうと夜型になります。ですので朝型にしたい場合は、午後は日光を浴びない方がよいということです。
また、天気が悪かったり外に出られなくても家の中から外を見るだけでも効果があります。
次に2ですが、早起きをしてみてそれを3週間ぐらい続けると体内時計が巻き戻されて朝型に移行していきます。ただ、どうしても眠たい時には昼寝などをして睡眠不足を補うようにします。
最初はつらいですが徐々に慣れていけば苦にならなくなります。昼寝は30分以内が理想です。これ以上眠ってしまうと、かえって寝覚めが悪くなりスッキリ感がなくなります。
眠れないことが続くと不眠症に
不眠であっても短期間であれば問題がありません。しかし、3ヶ月以上も眠れないと不眠症という病気と診断されます。
眠れないとどうしても、不安や焦りが出てきます。
「昨日は眠れなかった、今日は眠れるだろうか。眠れないとまずい」
このように考えてしまうと、ますます眠れなくなり不眠が慢性化して不眠症に陥いりやすくなります。
不眠症の人の特長ですが、
・床に着く時間が早くて入眠するまでの時間が長い
・途中で起きてしまい眠れない時間が長い
・朝起きても実際に起きるまで寝床にいる時間が長い
となっています。
このような習慣はかえって不眠を強化させます。
認知行動療法による不眠症の改善
不眠症の改善方法の1つに認知行動療法というものがあります。
1、睡眠を記録する
・寝床に入った時刻
・眠りについた時刻
・目が覚めた時刻
・寝床から出た時刻
・途中で起きていた時間
・昼寝をした時間
このような睡眠記録を録ることで睡眠パターンの問題が見えてきます。
2、睡眠習慣を変える
・寝床にしがみつかない
・睡眠効率をアップ
・リラックス
まず、寝床にしがみつかないことが大事です。
眠れないのに寝床にいても仕方ありません。ですから、眠くなったら寝床に入るようにします。つまり、自然の眠りにまかせるということです。
次に睡眠効率について。睡眠効率とは、睡眠時間の記録データを用います。
睡眠効率=眠っていた時間÷寝床にいた時間×100%
不眠症の人は、この比率が小さくなります。
睡眠効率を上げるためには、寝床にいる時間を減らす必要があります。これを減らすことで、睡眠効率を上げることができます。そして、睡眠効率が85~90%が治まるまで寝床にいる時間を減らします。
これを続けることで不眠症の解消につながります。
最後は、リラックス。これは、筋弛緩法が効果的です。
やり方ですが、身体に力を入れたり力を抜いたりを繰り返すことで、リラックス効果が高まります。
薬による不眠症の改善
不眠症の改善には生活環境の改善や睡眠習慣の改善が有効です。
ですが、これらをやっても効果がない場合は、薬(睡眠薬)によって不眠症の改善をうながします。
日本で使われいてる睡眠薬は、
・ベンゾジアゼピン系・・・副作用が出やすく、やめにくい
・非ベンゾジアゼピン系・・・副作用が出にくく、やめやすい
・メラトニン受容体動作薬・・・副作用が出にくく、やめやすい
・オレキシン受容体拮抗薬・・・副作用が出にくく、やめやすい
の4種類があります。
実際に処方される時に睡眠薬の種類は書かれていないので詳しく中身を知りたい場合は、医師や薬剤師に聞いてみるとよいでしょう。
睡眠薬で怖いのは、副作用です。副作用としては、
・ふらつき、転倒
・健忘
・眠気の持ち越し
・作業効率低下
などが生じます。
特に高齢者の方だと転倒が寝たきりのリスクを上げてしまうので特に注意が必要です。
また、副作用が生じる時間ですが、ふらつき、転倒、健忘の副作用は、服用して1~2時間後に起きやすく、眠気の持ち越しや作業効率低下は、翌朝起きた時に起きやすくなります。
睡眠薬と認知症
「睡眠薬を服用することで認知症になるのでは?」
このような不安を持っている人がいます。
ですがこれは事実とは言えません。
フランスで行われた調査によると、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を6年ほど服用した場合と服用しなかった場合で、認知症患者数が前者は100人あたり4.8人、後者は100人あたり3.2人でした。
この結果からだと、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬で認知症リスクが若干高くなっています。
しかし、差があまりないのでこの差が睡眠薬の服用の有無によるものとは断定できません。
ですので、睡眠薬を服用することで認知症になるとは言えません。
かえって、気にしすぎる方が精神衛生上もよくないと思います。
高齢者の不眠
高齢者の不眠の特長としては、
・早く就寝して早く目覚める
・夜中に目が覚める
・日中に居眠り
となっています。
高齢になると仕事もしなくなり、活動も減ります。このためエネルギー消費が減るので、必要な睡眠時間が減ります。
一般的に年齢が高くなるほど、睡眠時間は減ります。ですが、寝床に入っている時間が歳を取ると長くなります。
ですので、高齢になるほど、睡眠効率は悪くなる傾向があります。
また、高齢になるほど睡眠の深さが浅くなります。なので、十分な時間寝ても寝足りないということが起きがちです。
高齢者の場合の不眠対策
1、朝型にしないために、午後に日を浴びる
2、昼寝をするなら午前中30分以内にする
3、昼寝前にコーヒーやお茶などカフェインを含む飲み物を摂る
4、眠くなったら寝床に入る
まず1ですが、高齢者は元々朝型の人が多いです。なので、午前中に日を浴びるとさらに朝型が強化されてしまって、朝の目覚めが早くなりがちです。するとますます、寝不足となります。なので、午後に日を浴びることで、朝型をさらに進めないようにする方がいいのです。
次に2。高齢者の場合には昼寝をすると深い眠りに入ってしまいかえって夜になって眠れなくなり不眠になりやすくなります。ですので、昼寝をする時には目覚まし時計などを使って30分以内になるようにします。
次に3。昼寝前にカフェインを含むコーヒーやお茶を飲むと、覚醒効果が高まります。効果は20~30分後にあるので、昼寝をする前に飲むことで30分以内に起きやすくなります。
最後に4。高齢者は早く寝床に入りがちです。でも眠れないのに寝床に入っていると、かえってグッスリと眠れなくなります。ですので、眠くなったら寝床に入るようにします。
たとえば夜の9時ぐらいだと高齢者だとしても早過ぎるので、できれば夜10時以降に寝る方がいいです。
つまり、早寝早起きがいいからといって極端に早く寝て早く起きるのはかえって睡眠不足になるということです。
高齢者でどうしても眠れない場合はやはり睡眠薬の服用が有効です。しかし、副作用の影響が出やすいので注意が必要です。
特にふらつきや転倒は寝たきりにつながる恐れがあるので、高齢者の場合は睡眠薬の服用後、すぐに就寝することがおすすめです。
まとめ
不眠症になるととてもつらいです。
ですから、いい睡眠がとれていない場合はできるだけ早く原因を突き止めて睡眠不足を解消する必要があります。
特に高齢になってからの睡眠不足は病気や寝不足による転倒リスクの増大によって、認知症となる可能性を高くしてしまいます。
日頃から自分の睡眠時間や睡眠の質には十分注意するように心がけるといいでしょう。
私も昔に比べると睡眠時間は減り朝型になってきています。また昼寝をすることも多いです。
すぐに眠れているし不眠はあまりありませんが、油断はできないと思っています。
眠りは健康のバロメーターですからね^^。