家族が認知症になると、様々なトラブルが起こります。
そのトラブルは家族の生活を脅かすことにもなり、どのように対応するかで家族の幸福度が変わってきます。
まずは、家族が認知症になった時に起きる可能性があるトラブルに知っておくと、対応がしやすくなります。
1、誰が介護するかで家族間でもめる
例えば、親の介護をしないといけない時、誰が介護をするかでもめることがあります。
子供が一人であれば、もめることはないですが、兄弟姉妹が複数いたり、子供がいなくて孫が何人かいる場合など、親の介護義務があると思われる人が二人以上いると、介護のことでもめる場合があります。
もし、誰かが率先して介護をすると言ってくれるならいいのですが、介護はかなりの負担がかかるので、必ずしもスムーズに介護する人は決まりません。
そういう場合は、家族の中で相談をして決めることが大事です。
納得しないまま、誰かに押しつけてしまうとその人は不満を持ってしまい、それがまた別のトラブルを引き起こしかねません。
2、よい介護施設が見つからない
自宅での介護ができない場合、介護施設を探すことになります。
ですが、今は介護施設が不足気味です。ですので、入れたいと思えるような介護施設が見つからない時や見つかっても空きがない場合があります。
そういう時は、一時的に介護してくれるところを見つけて待つ必要があります。
いわゆる介護難民です。
介護される人はますます増えてくるのでこの状況は、今後しばらくはなくならないでしょう。
3、うまく介護ができない
はじめて介護をすると、うまく介護ができません。
介護する人もされる人もはじめてなので慣れていないからです。
そのため、お互いがイライラしてしまったり、喧嘩になったり、虐待になることもあります。
このような場合、介護を担当する人が介護の知識を学んでいくことが大事です。また、まわりの家族も介護する人だけに負担がかからないようにサポートをするといいです。
誰しも最初はうまく介護ができません。だからできなくても自分を責める必要はありません。少しずつ学んでいけばいいんです。
4、老老介護になっている
介護される人が親で長生きする場合、介護する子供もかなり歳をとっていて、老老介護となる場合が増えています。
私のある知り合いの方は、親が100歳ほどになっているのでまさに老老介護となっています。
老老介護になると介護する方の負担もかなり重くなっていて、場合によっては介護疲れから病気になることもあります。
お金があれば介護施設などに入ってもらうのがよいのでしょうが、お金がないとそうもいきません。
ただし、できないと思ったら早めにケアマネージャーなどの専門家に相談するのがよいです。
対応が遅くなると、かえって介護ができなくなります。
5、遺産のことで兄弟姉妹で争いなる
例えば、親が認知症になり介護が必要になった時に子供の間で遺産のトラブルになることがあります。
「介護しているのだから、遺産は多めにもらう」
「兄弟なんだから、遺産は平等にすべきだ」
「etc」
このように親が亡くなる前から遺産のことでもめてしまうのです。
親の遺言状などがあればそれに従えばよいのですが、もしないなら家族間で話し合いで、決めます。
でも、それがうまくいかないなら裁判で決着をつけないとダメなこともあります。
しかし、裁判はお金もかかるのでできれば、親が元気なうちに財産分与のことは決めておくことがよいでしょう。
6、介護する人がいない
認知症になった時、身よりが全くいない場合に、どうなるのでしょうか?
この場合、民生委員の人が窓口となり認知症の方のケアをします。
ですので、自活できるなら生活保護を受けられたり、自活できないなら老人ホームなどに入所ができます。
7、犯罪に巻き込まれやすい
例えば、認知症になっても軽ければ独力で暮らしていけます。しかし、判断力などは衰えているので、物販業者などから大量の不要なものを買わされたり、不動産や株などの取引の契約をさせられるなどの被害にあう場合があります。
周りにしっかりとサポートする人がいれば、このようなトラブルにあわなくて済みますが、必ずしもそうはいきません。
もし、トラブルがわかった時には、国民生活センターなどに相談をするといいでしょう。お金が返ってくる可能性があります。
また、認知症になってお金の管理がうまくできない場合、家族がお金の管理をしたり、ケアマネージャーに相談して後見人に管理をしてもらうなどすれば、犯罪に巻き込まれにくくなります。
8、問題を起こしてしまう恐れがある
認知症になると、徘徊などいろいろな問題を起こすことがあります。
自分の家の中だけならまだよいのですが、場合によって他人にも迷惑をかける可能性があります。
例えば、こちらのように電車事故の原因となり多額の賠償金を請求される恐れもあるのです。
このような場合、介護施設に事前に入ってもらうのも一つの方法ですが、自分で介護をしたい場合、そうはいきません。
ですので、万一に備えて個人賠償責任保険に入るという選択肢もあります。
千円程度の保険料で、最高1億円の保証が受けられます。
また、万一に備えてGPS装置を認知症の人の靴などに埋め込んで、いなくなった時にすぐに探せるようにしたり、家から出たら警報がなるようにするなど、工夫をすることで勝手にいなくなるのを防ぐこともできます。
いずれにしろ、認知症の家族が外で問題を起こす可能性も考えて、対応しておく方と安心です。
9、介護にお金がかかる
・働いているので介護ができない。
・歳をとっているので世話ができない。
・近くに住んでいないので介護は難しい。
・etc
このように介護する家族がいても介護ができない場合、お金を使って介護施設に入ってもらう必要があります。
でも、介護施設に入るにはお金がかかります。公的な特養老人ホームでも月に7万ほどはかかります。
ですので、介護される家族の年金などでまかなえればよいですが、それができないと家族が負担することになります。
もし、負担できない場合は世帯を別にして、生活保護を受けるようにしてお金を払うようにするしかありません。
ただ、家族が十分にお金を支払えるのに払いたくないために、このようなことをするのは望ましくありません。
本当にお金が払えないのであれば、まずはケアマネージャーや役所に相談することがおすすめです。
10、認知症の専門家とうまくいかない
家族の介護が必要になると、病院やケアマネージャーなど認知症の専門家の世話になります。
そして、医者やケアマネージャーなどが相談相手となるわけですが、中にはそりが合わないと思えるような人もいます。実際にこのようなケースは珍しくは、ないと思います。
おそらく、我慢をしている人も結構いるのではないでしょうか。
このような時には、思い切って担当の病院やケアマネージャーを変えることも必要です。
医者やケアマネージャーの仕事は、サービス業です。
ですから、変えるのは自由にできますので、変えた方が結果的よいです。
まとめ
家族が認知症になった時に生じる可能性があるトラブルはこちらです。
1、誰が介護するかで家族間でもめる
2、よい介護施設が見つからない
3、うまく介護ができない
4、老老介護になっている
5、遺産のことで兄弟姉妹で争いなる
6、介護する人がいない
7、犯罪に巻き込まれやすい
8、問題を起こしてしまう恐れがある
9、介護にお金がかかる
10、認知症の専門家とうまくいかない
なるべくならトラブルには、巻き込まれたくないでしょうが、巻き込まれてしまったらいかにそのトラブルを解決していくかが大事になります。
トラブル解決の秘訣は、「認知症についてよく知ること」です。
もし、認知症についてよく知らないとまずい対応をしてしまいかえってトラブルを大きくして解決を困難にしてしまうことがあります。
認知症はすでに珍しい病気ではなく、国民病です。
誰もが自分の問題と捉えて、知識を深めることが大事です。