認知症になると、身の回りのことができなくなります。

当然、排泄もまともにできなくなるので、そうなるとオムツを使うことが普通です。

しかし、オムツを使うことは、認知症をさらに悪化させてしまうことがだんだんわかってきています。

オムツを使い続けるとなぜ認知症が進んでしまうのか?

認知症患者で排泄ができない人に対して、介護現場(施設、自宅も含めて)でオムツを使うのは当たり前のことです。

なぜなら、もしオムツを使わないと周りの人は着替えをさせなくてはならないからです。

これはとても重労働です。

対して、オムツであればオムツの交換だけで済むので着替えさせるよりは手間がかかりません。

しかし、長期間、必要以上にオムツを使い続けることで、認知症患者はトイレに行きたいという気持ちが萎えてしまいます。すると、尿意さえも感じなくなってしまうんです。

そしてトイレに行かなくなるとお身体を動かす機会も減ります。これで体力が衰えてしまいます。

さらに、食欲も落ちてしまうので、飲み込みが悪くなり(嚥下機能悪化)、ますます認知機能も低下してしまうんです。

つまり、

「介護する側の都合を優先させることで、かえって介護が必要となってしまう」

というなんとも悪循環に陥ってしまうのです。

オムツの使い方を見直すとどうなるのか?

オムツの使い過ぎで、認知症が悪化してしまう。

これを改善するためには、オムツの使い方を見直すことが大事になります。

安易にオムツを使わないようにすると、トイレに行きたいという気持ちが強くなり、動こうという意識に変わるのです。

ある富山県の特別養護老人ホームでは、ドリンクバーのようにテーブルの上にジュースやスポーツドリンクやお茶などが並びます。

お年寄りもこれを楽しみにしています。

このように水分補給をしやすい環境を整えることで、トイレが近くなるためにトイレに行こうと思えるようになります。

これにより、トイレに移動する機会が増えて筋力アップ、食欲の向上が進んで、結果的に寝たきりが防止されるのです。

実際に、このホームでは7年前は6割以上がオムツを使っていましたが、今はほぼゼロになっています。

このようにオムツの使い方を見直すことで、オムツの使用率の低下、寝たきりの人の減少につなげられるのは画期的なことです。

おむつのサイズが適切でない理由とは?

静岡のある特別養護老人ホームでは、オムツのサイズを見直しました。

なぜなら、調査の結果、必用以上に大きなサイズのオムツを使っていたからです。

大きなサイズのオムツを使っていた理由は、オムツを交換するスタッフが

「施設側の都合で、尿や便がオムツから漏れると次にオムツ交換する職員が嫌がる」

と思ったからでです。

そのために、必要以上に大きなオムツを使うことが当たり前だったのです。

これを見直すために、

・オムツをコンパクトなものに変更
・安易にオムツを使わずトイレ誘導した

この2点を行うことで、オムツを使わずに済む人が増えていきました。

排泄ケア研修が人気になっている

排泄ケアを適切にすることで、認知症患者の寝たきりを防げるという点が注目されている中、厚生労働省は排泄ケア研修などオムツの使用について検討している施設に対して、報酬を出すようになっています。

これにより、排泄ケア研修が介護施設や医療の関係者の間で人気となっています。

多くの人が適切な排泄ケアを学ぶことで、オムツを安易に使わずに済むようになることが増えれば、先の老人ホームのように寝たきりとなる人を減らすことも可能となるはずです。

介護全体の中でオムツの使い方は、介護の1つのことに過ぎません。

しかし、たかがオムツではなく、されどオムツなのです。

オムツの使い方を見直すことで、

「トイレに行きたいけど、オムツにするしかない」

と思ってあきらめていた人も

「オムツをやめて自分の力で排泄をしたい」

このように変化する可能性があります。

まとめ

安易なオムツの使用は、認知症を加速させるという話しはとても重要です。

これは、認知症になってしまった人に、周りが何もかもやってあげよう、やらないとダメだと思うのではなく、できるだけ普通の人がやっているようにさせようとするほうが、認知症を進ませないためには良いことなのだと思います。

つまり、私達は認知症患者には無理だという思い込みを捨てないといけません。

もちろん、認知症になってできないことは増えていきます。

しかし、できることに目を向けたり、できるかも知れないことはチャレンジしてもらって、できるだけ認知症を進まないようにサポートすることが必用です。

今後、どんどん認知症になっていく人は増えてしまうでしょう。

しかし、日頃からに認知症予防、また認知症になってからも適切なケアをすることで、認知症の進み具合を遅くすることは可能です。

そのためにも誰もが認知症や認知症ケアについて学んでいく必用があると思います。

人ごとではありません。

結局、誰にとっても自分ごとなのですから。

参考:読売新聞